社長学は2つのトライアングルに分かれます。1つは「事業のトライアングル(BusinessTriangle)」。「多面思考」「長期思考」「根本思考」で構成します。物事を多面的・長期的・根本的に考えることを説いたのは、思想家の安岡正篤氏。「思考の三原則」と呼ばれるこの3つは、「指導者の原理原則が詰まっている」とされ、多くの経営者が学んできました。当研究所ではその考え方を社長学に展開し、事業を発展に導くトライアングルとして探求しています。
かつては正社員を減らし、非正規社員を増やすのは固定費削減の王道だった。下請け企業をたたいて価格を下げさせることは、下請けの競争力向上につながると正当化していた。しかし誰かを犠牲にしても、会社の売り上げが伸びていれば評価が得られた時代はとうに終わっている。すべてのステークホルダー(利害関係者)を満足させつつ、自社の業績も上げる。利他と利己をどう両立させるかという考え方が社長に求められる。
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長期計画を立て、それを短期計画に落とし込むのが正しい順序。長期計画と短期計画を結びつけないと、人は目の前の短期収益の確保ばかりを考える。ただし多くの社長が誤解しているのは、長期戦略を立てたからといって、長期視点で会社が動くわけではないということ。長期戦略を立てても短期思考に陥り、短期戦略が暴走し、長期戦略からどんどん外れていく現象は頻繁に見られる。組織の時間軸を決めるのは戦略ではなく、社長の考え方だ。
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ファーストリテイリング創業者の柳井正氏がかつて商店街で洋服店を営んでいた頃、ほかの店主は「来シーズンはどんな服を仕入れようか」「次はどこに店を出そうか」と考えていたのに対し、柳井氏は「服とは何か」「服屋とは何なのか」と根源思考を繰り返していた。「現在」を延長する考え方では会社は成長できないと考えていたからだ。イノベーションは根本的な思考から生まれる。表面的な思考でいくら努力しても未来は開けない。
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「事業のトライアングル」を支えるのが、「内面のトライアングル(Inner Triangle)」です。「内発思考」「共生思考」「死生観」で構成します。事業を持続的に伸ばしている社長は皆、内省的です。例外はありません。自分の心に向き合い、生き方を確かめ、自己も他者も尊重する思考が社長には不可欠です。人間は一人ひとり異なるのですから、社長一人ひとりに合う経営も異なります。唯一無二の経営スタイルを見つけると、社長業はもっと楽しくなります。
経営に原理原則というべきものはあるが、手法は千差万別。社長のあなたは何を大切にしている人間か。どのようなことに喜びを見いだす人間なのか。内発的な動機や個人的な感性に従い、自分に適した経営手法を探すことが大切だ。特に後継者が陥る苦しみは、先代のやり方をそのまま踏襲しようとすることが原因になりやすい。親子でも内発的動機は異なるため、後継者は自身の内面に合った経営に作り替える作業が必要になる。
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同じようなタイプの役員や社員をそろえた組織ほど弱いものはない。考え方が異なる人と共存し、互いの良さを生かし合うためには、人間は一人ひとり違うからこそ素晴らしいという共生思考が必要だ。内発思考と共生思考という一見矛盾しそうな2つの考え方を社長が両立することで、組織の幸福度が飛躍的に高まる。松下幸之助氏しかり、名経営者とされる社長ほど自分が万能ではないことをよく自覚し、衆知を集めている。
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多面的・長期的・根本的な思考を身につけるには、知識として理解するだけでは不十分。一面的・短期的・表面的に考え、動くほうが簡単だから、気をつけないと易きに流されてしまう。思考の引力にあらがうためには「人は必ず死ぬ」という無常観と向き合い、自分の心を律することが必要になる。「人生の有限性」と「会社の無限性」の差を考えることで、目先の利益・快楽の優先度を下げるという判断ができる。
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