表面思考と根本思考の違い
ファーストリテイリング創業者の柳井正氏は当代表理事の取材中、表面思考と根本思考の違いを鋭く指摘していました。柳井氏が山口・宇部の商店街で洋服店を営んでいた頃、ほかの店主は「来シーズンはどんな服を仕入れようか」「次はどこに店を出そうか」と考えていたそうです。これに対して柳井氏は「服とは何か」「服屋とは何なのか」と根源思考を繰り返していた。どの社長も生き残るために必死に経営をしていたかもしれませんが、柳井氏は現在の延長では会社は成長できないという危機感を持っていました。イノベーションは根本思考からしか生まれません。表面的な思考で努力してもだめなのです。
自社の存在価値を根本的に問う
すべての組織には存在理由があります。目的を見失った組織で、目先の収益確保を求められる社員ほど悲劇的なものないと思います。自分たちの組織が何のためにこの世に存在しているのか。マネジメント職にある人は皆、常に自問自答したい。その上で社長に求められるのは、自己否定する力です。存在目的に照らしたとき、現在の経営を否定することも時には必要です。ある会社では毎年、解散価値を算出し、関係者に示しています。解散したほうが世のためになるならその選択もよしという覚悟を持つことで、自己否定も恐れぬ力を得ているのです。
顧客の根本的な欲求を考える
表面的な思考で経営していると、ライバルとの価格競争になりやすい。「価格競争に巻き込まれている」という表現を使う社長は少なくありませんが、それは正しくありません。社長自身が主体的に価格競争を選択しているのです。顧客の根本的な欲求を見つけ出すより、価格競争のほうが楽だからです。現場にいる社員は顧客の欲求に敏感ですから、耳を澄ませば社長にも届くはずです。ところが「価格を下げたほうが、売り上げを維持できる」といった安易な考えが先に立ってしまうのは、社長の考え方がどこか間違っているのです。